※当院では、全て実費での接種となります。

肺炎球菌ワクチン

細菌やウイルスなどの病原微生物が肺に感染して炎症を起こしている状態が肺炎です。
呼吸器の防御機能が病原微生物を排除できなかった場合や、病気やストレスなどにより免疫力が低下しているなど、感染力が防御力を上回ってしまうと、病原微生物が上気道から下気道、そして肺にまで入り込んで感染し、肺炎を発症するのです。
肺炎は高齢者の方や基礎疾患を持っている方などにかかりやすく、しかも治りにくいという特徴もあります。

このように高齢者の方や基礎疾患を持つ方はとくに注意が必要ですが、肺炎予防に最も有効と考えられているのが肺炎球菌ワクチンの接種です。
肺炎球菌とは、肺炎の原因菌の中で最も多い菌(大人の肺炎の20~40%は、この菌が原因)であり、この肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防するほか、重症化のリスクを減らすなどの効果が期待できます。

また、インフルエンザワクチンの接種を併せて行うと、肺炎予防の強化にもつながります。
そのため、肺炎予防には、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種が推奨されています。

インフルエンザワクチン

インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症がインフルエンザです。
このウイルスに感染すると潜伏期間(1~3日ほど)を経て発症し、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気などの全身症状のほか、普通の風邪と同じように、喉の痛み、鼻水、せきなどの症状も現れます。
また小児では、痙攣や中耳炎のほか、急性脳症の症状がみられることもあります。
このほか、高齢者や基礎疾患をもつ方は肺炎を併発するなど、重症化する可能性もあります。

このインフルエンザを予防するのに最も有効と考えられているのが流行前のインフルエンザワクチンの接種です。
同ワクチンは接種してから効果が出るまでに約2週間かかりますが、その効果は約5ヵ月間持続します。
日本の場合、例年12月~翌3月頃にインフルエンザが流行していますので、毎年12月中旬頃までに接種するようにしてください。

なお、インフルエンザウイルスは毎年少しずつ性質を変えて異なるタイプが流行しますので、それに対抗するためにも、予防接種は毎年行うようにしてください。

帯状疱疹ワクチン

水痘(水ぼうそう)に感染すると、症状が治まっても病原体(水痘・帯状疱疹ウイルス)は体外へ排出されず、神経節に潜伏するようになります。
これが、過労や加齢などによって免疫力が低下すると、潜伏していた同ウイルスが活性化し、左右どちらかの神経節に沿ってピリピリした神経痛が現れます。
さらに皮膚症状(赤い発疹、水疱、潰瘍、痂疲化 等)も現れます。
皮膚症状は3週間程度で治まりますが、高齢で発症した、症状が重かったとなれば、神経痛の痛みは長期間続くことがあります。
これが3ヵ月以上続いていると帯状疱疹後神経痛と診断され、痛みをとるための治療が必要になります。
このようなリスクをできるだけ回避するために行われる予防接種が帯状疱疹ワクチンです。

接種にあたっては、2種類のワクチン(生ワクチン、不活化ワクチン)があり、どちらかを選択することになります。
なお生ワクチンは1回、不活化ワクチンは計2回の接種(2回目は1回目の接種から2ヵ月後に受ける)が必要です。

2回の接種が必要な不活化ワクチンの方が予防効果は高いとされています。

MR(麻しん風しん混合)ワクチン

麻しんと風しんを予防するためのワクチンです。
現在、MRワクチンは小児の定期予防接種で、計2回の接種が必要とされています。
ただ現在成人の方では、1回もしくは、これまでに1回も接種を受けたことがないという方もいます。
そのため、これらの感染症に対する抗体価がない、あるいは低いという可能性もあります。この場合は、風しんや麻しんにかかりやすいということが考えられます。

妊娠初期の妊婦さんが風しんに感染した場合、それが胎児にも感染し、先天性風しん症候群(先天性心疾患、白内障、難聴 等)を発症して生まれてくることがあります。
しかも妊婦さんには同ワクチンを打つことはできません。
また成人になって、麻しんを発症すれば重症化しやすいということもあります。
これらのリスクをできるだけ低減させるためにも、抗体検査で抗体価を調べる、MRワクチンを接種するということに努めることは大切です。

とくに将来子どもを授かりたいと考えている女性、妊婦さんと同居されているご家族の方で抗体価が低い可能性があるという場合は、接種されることをお勧めします。

水痘ワクチン

水ぼうそうを予防するために接種するワクチンです。
原因となる病原体は、水痘・帯状疱疹ウイルスで、空気感染、飛沫感染、接触感染が感染経路となります。
水ぼうそうは、感染力が強く、全身にかゆみを伴う水ぶくれが発症します。
多くの患者様は軽度で済みますが、人によっては肝炎、脳炎、肺炎などの病気を併発させることがあります。

水痘ワクチンは接種回数が2回で、小児の定期予防接種のひとつでもあります。
この場合、1歳の誕生日を迎えてから生後15ヵ月までに1回目を接種します。その後3ヵ月程度空けてから2回目を接種します。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)のワクチン

ムンプスウイルスに感染することで発症する感染症が流行性耳下腺炎で、一般的にはおたふくかぜと呼ばれています。
感染経路は飛沫感染や接触感染で、発熱、耳下腺や顎下腺に腫れがみられます。
気をつけなければならないのが合併症で、無菌性髄膜炎や難聴がみられることがあるほか、思春期以降に感染すると精巣炎や卵巣炎を併発させることもあります。

同ワクチンは任意接種なので全額自己負担となります。
ただ同ワクチンにつきましても推奨期間というのがあります。
まず1歳の誕生日を迎えたら3ヵ月以内に1回目を接種します。
さらに強い免疫を獲得したい場合は、小学校に入学する直近1年前(年長)の間に2回目を受けるようにします。